実践!管理者道場:デミング博士の教えを守れ!
1:デミング博士の業績
皆さんもご存知の通り、統計的品質管理はW・エドワーズ・デミング博士により開発された手法です。デミングはアメリカ農務省に勤務中に統計学者のウオルター・A・シューハトと知り合い、統計的品質管理手法を開発しました。しかしこの統計的品質管理はアメリカではほとんど無視されました。1940年代後半から50年代前半のアメリカは30年前以上にフレデリック・テイラーが提唱した科学的管理法が工場管理の主流だったのです。
テーラーは人間の動作を作業基準と規則で規定して管理すべきだと主張、これが一群の管理者が主導権を握る規則だけで管理するアメリカ的な管理手法の基礎となったのです。戦後はアメリカでは品質よりも生産数量が重視され、品質管理といえば最終検査のみでした。デミングは「アメリカでは統計的品質管理手法は時間がかかる不必要な方法だと見なされ、1949年ごろには影も形も無くなってしまった」と嘆いています。
一方、戦後の日本では復興のため日本科学技術連盟が設立され、シューハートの理論を取り入れようと活動している時にデミングの名前を見つけたのです。早速デミングを日本に招き教えを請うことにし、デミングに連絡しました。デミングは「報酬は一切いらない」と快諾して1950年6月16日に東京にやってきました。デミングは品質管理について熱心に日本各地で研修を行い、約3ヶ月の間に数千人の技術者に統計的管理手法を教え、大企業のほとんどの経営者と会い、品質の重要性を説いたのです。
1951年にデミングの功績を記念して日本デミング賞が創設されました。さらに1960年に日本政府はデミングの功績を称えるために、アメリカ人としては初めて勲二等瑞法宝賞を授与しています。デミングは「この受勲は生涯でもっとも喜ばしい経験であった」と日記に残しています。しかしデミングはアメリカでは依然として無名なままでした。日本で品質管理を教えてから約30年後の1980年にNBCのテレビ番組「日本がやれるならアメリカもやれる」にデミングが出演、日本の工業製品の品質がアメリカ製より優れているのは日本が徹底的に品質管理の手法を応用しているからだと指摘しました。この番組がきっかけとなりアメリカの企業も統計的品質管理を積極的に取り入れるようになったのです。
2:心に沁みるデミング語録
デミングは数々の名言を残しています。特に私が好きな名言をご紹介します。
1:現場経験のない管理者は何の役にも立たない人だ。この管理者の部下になった従業員は不幸である。
2:管理者の職務は従業員を指導、教育して、より良い仕事ができるように援助することである。従って
雇った従業員の成功、不成功は管理者の責任である。
3:スローガンや社訓だけの精神論だけではいけない。壊れた機械や品質の悪い材料を使っていたら適正
な仕事を行えない。管理者はスローガンや社訓を達成できる手段を提供すべきだ。
4:管理者の仕事は不良品を出した従業員を罰することではない。作業員のヒューマン・エラーをなくす
ように管理するのが管理者の仕事である。
5:積極的な教育、訓練を続けよ。企業は従業員の向上に手を貸さなければいけない。それが結局、企業
利益として還元されるのだから。
著者:UVCコンサルタント: 立川
剛
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