実践!管理者道場:問題を類推して現場力を強くせよ!

 

1:作業標準書が床に落ちていた
コンサルタント先の工場の現場を検証していた時のことです。作業台の床を見たら1枚の作業標準書が落ちていました。作業台の奥の方に落ちているために見難く、気が付かなかったようです。私は直ぐに管理者に「作業標準書が床に落ちているぞ」と指摘しました。彼は「すみません。直ぐに拾います」と拾い上げて現場の担当者に「作業標準書が落ちていたぞ。気を付けろよ。」と言いながら作業標準書を担当者に渡したのです。私はこの管理者の様子を見て、レベルの低さに驚いたため、直ちに他の管理者も招集して問題意識が低すぎることを指摘しました。

2:一流の工場とは

私は管理者に落ちているものの対処から工場のレベルが分かると指摘、次のように説明したのです。
1:三流の工場:「落ちているものを拾え」との指示だけ。
2:二流の工場:「落とさないように工夫しろ」と改善を求める。
3:一流の工場:「落としたものから他の問題を類推して改善せよ」と広範囲に対策を行う。

3:他の問題も類推せよ
私は作業標準書が床に落ちていたことから次のような問題を類推したと管理者に説明しました。
 

1:作業員に作業標準書の必要性と重要性の教育を行っているのか。教育用の資料と教育記録の証拠 
  の有無は。教育後のフォローは誰がどのように行っているのか。その証拠は。
 

2:作業標準書の保管場所は明確になっているのか。誰がどのような理由で保管場所を決めたのか。
  保管場所と現場の距離、使いやすさはどうか。
 

3:製品ごとに作業標準書を掲示や回収するルールは明確か。誰が検証を行っているのか。
 

4:作業標準書が床に落ちているのは上記のルールが守られていない証拠である。なぜ守られていな
  いのか。誰が守らせるのか。どのように守らせるのか。
 

5:作業標準書が分かり難いとの理由で使われていない可能性がある。そのため取り扱いが雑になっ
  て床の上に落ちたままになっているのではないか。
 

6:作業標準書がなぜ床に落ちたのか。掲示方法の改善は継続的に行っているのか。作業標準書を床
  に落とした作業員はなぜ気が付かなかったのか。気が付いても拾わないのはなぜか。
 

7:作業標準書の管理がこのようにずさんであれば、作業標準書の改廃のシステムにも問題があるの
  ではないか。改廃の手続きが正しく行われている証拠はあるのか。
 

8:作業標準書のルール及び作業員の品質意識に問題があるが、作業員へのルールの周知の徹底と品
  質意 識の向上の教育はどのように行っているのか。教育効果の検証はどのように行うのか。

多くの工場では作業標準書が床に落ちていたら、作業員に「ちゃんと拾っておけよ」と一言だけ注意して終わりになってしまいます。そのため現場力が強くならず同じ問題ばかり繰り返して起こすことになってしまうのです。現場力を強くするには小さな問題から数多くの問題点を類推して、それらを改善するようにしなければいけないのです。「一石二鳥」との格言がありますが、ひとつの落ちているものから数多く類推して改善することにより「一石五鳥」「一石六鳥」となり、本当の現場力が強くなっていくのです。                                                                            


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著者:UVCコンサルタント: 立川 剛
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