実践!管理者道場:見えないムダに気を付けろ!

1:欠品ロスは問題ない?

私の仕事はタイ人管理者をプロの工場管理者に育てることです。先日コンサルタント先の会社で製造のタイ人管理者に対して部品の欠品による生産性ロスの改善を指導していました。データを見ると欠品は頻繁に発生しています。そこで私が欠品によるライン停止のデータをタイ人管理者に求めるとライン停止の総時間のデータを出してきました。このデータを見る限りでは欠品によるライン停止は極めてわずかな時間しかありませんでした。「欠品が多いのになぜラインの停止時間が少ないのだ」と質問すると「欠品が分かった段階で別の製品を流してラインが止まらないようにしているからです」との返事でした。さらにタイ人管理者は次のように言ったのです。「欠品が発生しても問題ないですよ。直ぐに別の製品を流すから生産性は維持できています。問題はありません」

2:管理者の勘違い
この管理者は自分はラインを止めないから生産性を維持しており、問題はないと信じていました。確かに欠品が発生した場合、別の製品やロットを流してライン停止を防止するのは定石です。しかしラインが止まらないから問題がないとの考え方は正しくありません。この管理者は次の2項目を勘違いしています。

2.1:見えないムダを理解していない

製品切り替えの段取りが目に見えないムダであることを理解していない。通常作業と勘違いしている。

2.2:視野が製造だけである
製造としては製品切り替えによりラインを止めなかった。しかし製品切り替えによるQC、QAの段取りや生産計画の変更、お客様との交渉など他部署に発生した膨大なムダに気が付いていない。

3:管理者への説明
ラインが止まらなくても製品やロットの切り替えの際に目に見えない膨大なムダが発生しています。管理者はこの見えないムダを理解しなければいけません。そこで私は次のような説明を行いました。

1:欠品が分かった段階で別の製品を流してラインを止めなかったことは管理者として立派である。

2:しかし別の製品を流すためにはいろいろな準備、ラインの再編成、指示や確認など数多くの人手と時
  間が費やされている。これは大きなムダである。

3:ムダには目に見えるムダと目に見えないムダの2種類がある。不良品のように目に見えるムダは直ぐ
  に分かるが、製品の切り替えの段取りなどは目に見えないムダなので、注視しなければいけない。

4:製品の切り替えのため目に見えない膨大なムダが発生している。この目に見えないムダを全員に見え 
  るようにしてムダへの関心、意識を高める。そしてそのムダの改善に取り組むのが管理者の大事な役
  割である。

4:助け合いが解決の第一歩
部品の欠品問題は製造だけではなく生産管理、購買、品質(受け入れ検査)など多くの部署が絡む問題なだけにやっかいです。しかし各部署のコミュニケーションと助け合いがあれば、改善できる事柄も多いのも事実です。欠品が発生してもラインが止まらないから問題ないと安直に考えさせず、その裏で発生している目に見えない膨大なムダを理解させ、各部署に責任感と意識を植え付けてコミュニケーションと助け合いを活性化させることが問題解決に繋がるのです。                                                                                  
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著者:UVCコンサルタント: 立川 剛
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