「実践!管理者心得」第99回目

免責証言で報連相を活性化せよ




私は4月4日、5日にシンガポール、5月23日、24日にマレーシアで日本人駐在員向けとローカル管理者向けに報連相の活性化についてのセミナーを行います。従来のセミナーですと報連相のテクニックが中心となるのですが、今回のセミナーでは部下が喜んで報連相を頻繁に行うために上司はどのようにすれば良いのかを解説します。部下と上司の関係の再構築を中心に心の問題にも深く切り込んで行く形になります。

この報連相の活性化ですが、ハワイ・オアフ島沖の原潜と衝突したえひめ丸の事故も私たち管理者に貴重な示唆を与えてくれています。今回の事故の原因を解明する審問委員会で免責証言の取り扱いについて報道されていますが、私はこれが日常業務の報連相の活性化につながる大事なポイントだ思います。免責証言とは正確な証言を行う代わりにその証言内容を本人に不利な証拠として使わないことを保証することです。この免責証言は皆さんもご存知のとおり航空機事故などにしばしば使われています。航空機事故ではパイロットが故意に事故を起こすことは有り得ないとの前提、そして何よりも多くの人命を一度に失う大惨事の再発防止を最優先にすべきだとの考え方が免責証言の基礎になっています。

この発想は私たちの日常業務にも応用できるのです。仮に部下が何かミスを起こしたとしましょう。私たちはつい「何をやっているのだ!」「もっと早く報告しろ!」と怒ってしまいますが、ちょっと待ってください。問題が発生した場合、私たち管理者がとるべき行動は部下を怒って罰することなのでしょうか。それとも問題の原因を解明して再発防止の対策を考えることなのでしょうか。管理者は裁判官ではありません。管理者としては部下を罰するより問題に対する早急な処置、そして再発防止が最優先となるはずです。航空機事故と同様、故意にミスを起こす部下は有り得ないし、問題の対処と再発防止が最優先となるのです。

問題の解明と再発防止には部下の正確な証言、すなわち正しい報告が絶対に必要となります。しかし上司が常に部下のミスを非難していると、部下は「問題は報告せずに隠しておこう」「問題は他の人の責任にしてしまえ」「正直に言えば怒られるから、ウソの報告をしよう」と考えてしまうでしょう。日本人管理者には「現地の管理者は報告をしないので困る」と文句を言っている人が多いのですが、現実はこのようなケースが実に多いのです。

部下からの報連相を活性化するには、自分の管理方針に部下の報連相に対して免責証言の考え方を導入してみるのも効果的です。部下の報告に対してその人を責めず、問題の処置を一緒に考えるようにすれば、部下は喜んで報告するようになります。免責証言を導入することにより部下からの報連相が活性化され、問題の処置がすばやく行え、再発防止の対策も容易になるのです。




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著者:UVC管理者セミナー講師 立川 剛
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