「実践!管理者心得」第96回目

迷信などはぶっ飛ばせ!




私は依頼先の日系企業に行き5Sの指導も行っていますが、意外と迷信を信じている日本人管理者が多いのに驚かされます。海外での経営管理の邪魔をしている迷信は数多くありますが、5Sで多い迷信は次のようなものです。

「日本人を含めた管理者は工場内に落ちているゴミを見つけても拾ってはいけない。必ず誰かを呼んで拾わせるべきだ。なぜならごみを拾ったりするのは下の人々の仕事だからだ」

「管理者は掃除をするべきではない。掃除は下の人々が行うべきなのだ。もし管理者が掃除をしているところを作業員が見たら管理者を尊敬しなくなってしまう」 このような迷信に取りつかれている会社では工場立ち上げ時などに総務や人事担当のタイ人管理者からこのような迷信を吹き込まれ、これが社風となってしまったケース、資本比率がタイ側が多いためタイ人の経営陣に発言権があり、日本人側が従ってしまったケースなどがあります。

初代の日本人管理者はタイ人管理者の言いなりになって、管理者が掃除をしないことを認めたり、外部の清掃業者をラインに入れたりして掃除を行っていますが、2代目、3代目になってくると「これで良いのだろうか?」と疑問を感じる人が出てきます。

私が5Sの指導を行う時はこれらは全て迷信だと切り捨てています。これは掃除を行いたくない怠け者がタイの文化に摩り替えた言い訳なのです。管理者が「タイでは管理者が掃除をしてはいけない」と言っても「それはおまえが掃除をしたくない言い訳だろう!」と一切認めません。こんなことは実際に現場の作業員に次のように聞いてみれば直ぐに分かることです。

「あなたは作業員が掃除をしている時に掃除をしないで椅子に座って書類を読んでいる上司と、部下と一緒に一生懸命掃除を行っている上司のどちらを尊敬しますか?」

私が指導に入った企業で最初、掃除を行うことに抵抗する管理者も、もの作りの観点、5Sの原理原則、そして従業員のモチベーションアップからして、工場内の掃除はできるだけ管理者を含めた全員参加で行うべきことを良く説明すれば、必ず納得して掃除に参加してくれます。これはタイだけではなく、昨年シンガポールとマレーシアで行ったPHPの5Sセミナーでも強調したところ参加者全員が納得してくれました。

このような迷信に支配されている工場でも管理者にほうきと雑巾を持たせ率先して掃除を行せると、工場はたちまちきれいになり、雰囲気までがらりと変わってしまうのです。この掃除以外にも海外では数多くの迷信があります。日本人管理者は現地の迷信を盲信するのではなく、経営管理の原理原則に照らし合わせて正しい判断を行うことが大事なのです。




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著者:UVC管理者セミナー講師 立川 剛
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