「実践!管理者心得」第88回目

部下のバッテリーをフルチャージしろ!


マラソンの瀬古や佐々木を育てた中村清監督は管理者である私たちに素晴らしい言葉を残しています。

「私が監督を行っている大学には毎年、多くの陸上選手が入ってきます。入ってきたばかりの選手はやる気が漲っており、目の色が違います。しかし練習を重ねて行くうちに一人二人と脱落して行くのです、、、、」

「体力的には差が無い選手たちがなぜ、先に向かって進み続ける人と落ちこぼれる人に分かれてしまうのでしょうか」「それは情熱の差です。情熱のボルテージが下がってしまったからです」

これは企業の新入社員のケースにも見事に当てはまります。入社当初からやる気が全然無く「できるだけ仕事をサボって適当にやろう」と考えている人などいるわけがありません。

これをお読みの皆さんも入社した時の頃を思い出して下さい。「よし、頑張るぞ!」と気力に満ち溢れていたはずです。しかし年を重ねるごとに段々と情熱のボルテージが下がってくるのが現実です。特に自分の力の6割程度でルーティーンの仕事がこなせるようになると、ボルテージは著しく下がってきます。

このボルテージが下がった状況を中村監督は車のバッテリーに例えています。

「自動車は新車のときはたっぷりと充電されたバッテリーが付いています。しかし車体がピカピカのままでも乗らないとバッテリーが減って動かなくなってしまいます」

入社当初はやる気満万でも時間とともに情熱との言う名の電気が落ちて来ます。そしてとうとう電気が切れてストップしてしまいます。テレビは映るもの、冷蔵庫は冷やすものですが、これも電気があっての話しです。電気が無ければ外見はテレビや冷蔵庫でもただの箱なのです。皆さんの部下も情熱の電気が切れて、ただの動く人形になっているかもしれません。そこで中村監督は次のように強調しています。

「選手の情熱のボルテージが無くなってしまわないためにどうすれば良いのか。そのために監督やコーチが存在するのです」

「監督やコーチは選手がある目標を達成したら、その選手の精神状態、肉体状態、生活状況を初めあらゆるものを総合して次の手の届く目標を与えてやるのです」

「これを繰り返すことにより選手を上へ上へと向かわせてやる、情熱のボルテージを充電して情熱を失わない状態を作り出すのが監督者とコーチの仕事です」

この文章を「監督やコーチ」を「管理者や監督者」そして「選手」を「部下」に置き換えてもう一度読みなおして下さい。見事に管理の要諦を突いていることがお分かり頂けると思います。

日本人駐在員の中には「うちの現地の管理者はやる気が無くて困る」と嘆く方が多いのですが、中村監督が強調している通り、このやる気を引き出すのが管理者の仕事なのです。人のやる気を引き出す管理手法は心理学的に証明されて入るものを含めて数多く開発されています。日本人駐在員はこれらの手法を取得し、実行して部下のバッテリーをフルチャージして下さい。バッテリーが上がっている車でもフルチャージすれば、再び快適に走り出すことが出来るようになるのです。




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著者:UVC管理者セミナー講師 立川 剛
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