「実践!管理者心得」第86回目

全ての会社が教育会社になる時代


企業で働く人間のやる気をいかに引き出すかを中心とした書籍を多数、執筆している中谷彰宏氏ですが、氏の書籍は大変分かりやすく管理の勉強になります。私も氏の書籍はほとんど読破しましたが、私自身が行っている管理手法のセミナーにも応用しているほど学ぶべき点がたくさんあります。

この中谷彰宏氏は「これからの製造業はものを作る場所ではなく、人を作る場所になる」「すなわち、これからは全ての企業が教育会社になる」と看破しています。松下幸之助氏は「まず人作りから始める。良い人からしか良いものは出来ないからだ」と言っていますが、まさにこの思想と合致します。

読者の皆さんの工場ではお客様から厳しい品質、納期、コストダウンを要求されています。これに対応すべく大変な努力を重ねていますが、製造機器の能力の限界が100としたら、皆さんの工場ではすでに100に近い数値になっているはずです。これ以上は本当にどうにもなりません。しかし皆さんの工場の「管理者」「監督者」「作業員」などの人はどうですか?100の能力としたら50から70程度はないでしょうか。人間の力は機械と違います。機械は100の能力ならば100以上にはなりませんが、人間は「教育」により100が120、150にもなります。さらにチームとして働くことにより力が結集され、ますます大きな力になるのです。

「これからは全ての企業が教育会社になる」と言うのは、この人の能力を教育を行うことにより最大限に引き出すしか、企業の生き残りの道が無いと言う事なのです。日本人駐在員を含めた管理者の管理能力により部下の能力はいくらでも引き出せます。以下に簡単な管理能力の質問がありますので、ぜひご自身で考え答えて下さい。

1:ボーナスを支給したところ「他と比べてわが社はボーナスが低い!」と文句を言っている部下が大勢います。ボーナスを支給するたびに必ず不平、不満を言う部下がたくさんいますが、あなたはいつ、どのような注意や指導を行えば良いと思いますか?

2:現地人の部下が指示した内容を守っていませんでした。注意を行うと「あなたの英語やタイ語が下手なので指示が理解できませんでした。」と言われました。あなたはこの部下にどのように指導しますか?

3:不良が発生したので管理職を集めて厳重な注意を行ったところ、部下の一人がこのような発言をしました。「不良が出たと言っても600万個の中でわずか3個だけですよ」他の部下も同調してうなずいています。あなたは部下に向かってどのように説明して納得させますか?

4:現地人の部下から次のような質問がありました。「問題が発生するたびにどうして私たちを集めて長い時間を掛けて会議を行うのですか?どうせ私たちの意見や考えを日本人は取り上げないのですから、日本人だけで会議を行い決めた方が良いじゃないですか。日本人の会議で決めたことを指示してくれれば私たちはやりますよ」あなたはこのような部下にどのように指導して納得させますか?

このような質問を自分で作り、答えを考えることにより管理能力は飛躍的に向上します。全ての企業が教育会社になる時代ですから、日本人駐在員も相当な能力が必要なのです。




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著者:UVC管理者セミナー講師 立川 剛
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