「実践!管理者心得」第83回目

ヤモリ事件は時代の象徴


すでにご存知の方も多いと思いますが、先日、日本の新聞でタイから輸入したコーンの缶詰からヤモリの死がいが発見されたことが報じられていました。この缶詰は日本の食料品製造販売会社がタイの缶詰製造会社より輸入して販売していたものです。三重県鈴鹿市の主婦が缶詰を開けたところ、体長約4センチの動物の死がいが出てきたため、保健所に連絡、保健所より販売先の会社に連絡が入り分かったものです。この会社では製造日が同じ缶詰約2万6000個の自主回収し、今後混入防止を図ることや、工場での目視検査の徹底などの改善策をまとめ、同保健所に提出しました。

今回の事件で私が思ったのは消費者の品質意識の向上と高度な情報化社会により、わずかな品質ミスでも企業にとって一瞬にして致命傷となってしまうと言うことです。

1品質意識の向上 

 ヤモリ事件は確かに大変な問題に違いありませんが、これが全国紙に会社名入りで掲載されてしまう背景には消費者の品質意識の向上があります。企業のわずかなミスでも逃さない、訴える、不買運動を展開するなどの消費者の意識が大きく向上しています。これは「買ってはいけない」が日本で大ベストセラーになり、大手会社のウイスキーが販売中止までに追い込まれた現実からも理解できます。


2情報の飛躍的向上  

ヤモリ事件はインターネットの新聞記事でも報道されましたが、このインターネットにより事件は日本だけではなく世界中に一瞬にして知れ渡ってしまうのです。しかも関心の高い人が事件に食いつき、掲示板などで意見交換をはじめますから、事件が終結した後でも掲示板などに記事が残る可能性があるのです。

ヤモリ事件が10年前だったら、インターネットは普及していませんから、この事件を知る人の数は現在と比べてかなり少ないはずです。今回の事件は発展途上国の管理者や現場の作業員は事件をどのように捉えるでしょうか。たぶん「たかがヤモリ一匹の話ではないか。謝れば済むことだ」「ヤモリが自分から製品の中に入ったのだから、私のせいではない」との感覚のはずです。しかしこの程度の品質意識では日本の市場では通用しなくなっているのです。

海外で工場管理を行っている駐在員の方々は今回のヤモリ事件をぜひ社内教育の題材として下さい。特にヤモリ一匹で全国紙に企業名が掲載され、企業にとっては致命傷となる日本の現実、市場の厳しさを強調して教えて欲しいのです。ぜひ御社で今回の事件の教訓を生かして頂きたいと思います。従来は消費者が不良品を発見した場合は、販売会社に連絡して担当者がお詫びに行くのが通常のパターンですが、今後は販売会社に連絡する前に直接、公共機関やマスコミに訴えるケースも増えてくると思います。今回のヤモリ事件は製造会社としては本当に厳しい時代を迎えている象徴といえます。





著者:UVC管理者セミナー講師 立川 剛
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