「実践!管理者心得」第75回目

アッチラ大王の統率のルールとは


いつも皆様にご愛読して頂いているこの「実践!管理者心得」のコラムですが、このほど一冊の本となりました。内容は当社に寄せられたご質問を中心に日本人駐在員向けに管理手法の原理原則をまとめてあります。本の題名は「実践!管理者心得」です。4月27日にタイの日本書店で発売となりました。

さて、モンゴルのジンギス・ハーンと言えば欧州では恐怖の代名詞として忌み嫌われている人物ですが、このジンギス・ハーンと並んで恐れられている人物がもう一人います。それが遊牧騎馬民族・フン族の最盛期の大王ことアッチラ大王です。

彼は中央アジアの草原地帯に君臨した大王であり、西暦451年頃、西ローマに侵入し、これが天下のローマ帝国を滅亡へと導く引き金になりました。彼は欧州の人に深いトラウマを残したらしく、当時の絵を見ると大きすぎる顔に浅黒い肌、がに股の上に鼻が潰れており、目が釣り上がっているなど悪魔のように描かれています。

アッチラ大王は人口の少なかった時代に、なんと70万人もの騎馬兵を統率して大遠征を繰り返していたのですが、最近、アメリカの学者により、その統率力の秘密が解明されました。アッチラ大王は統率に際して実に単純で明快なルールを持っていたのです。そのルールは以下の2つです。

1:悪い報告をした部下を褒めよ

2:悪い報告をしなかった部下を罰せよ

実に単純明快なルールですが、これこそが70万人もの騎馬兵を手足のように操る統率力の原点だったのです。私もこのコラムの第73回「失敗は成功の元」で品質管理では失敗した事を褒めるくらいの心構えが大事と書きましたが、このアッチラ大王はすでに1500年前以上にこれを実践して、70万人もの人を管理していたのです。

アッチラ大王の2つのルールは実に明快で、誰でも直ぐに出来そうですが、それはとんでもない誤りです。これほど実践が難しいルールはありません。試しにこのコラムを読んだあと、部下に「これからは悪い報告をしたら褒めるからドンドン報告しなさい」と言って見て下さい。全く何も変わらず、相変わらず悪い報告は隠して、薄めて、修正して、ごまかすはずです。

このルールを本気で実践するには部下に「報告しろ!と言って相手を変えるのではなく、自分が先に変わらなければならないのです。すなわち相手に悪い事を報告させるのが先ではなく、自分が悪い報告を受け取った時に褒めることが先なのです。品質管理を進めて行く上で、部下からの報告が無いと嘆く人が多いのですが、部下がなぜ報告をしないのか部下の立場になって考えない限り、解決しないのです。自分中心で考えていると「報告しろ!」と怒る以外に無く「部下は100回言っても分からない、使いものにならない」で終わってしまいます。

悪い報告が本当に直ぐに上がってくるようにするには、報告をする方より、報告を受ける側の姿勢の方がはるかに大事なのです。これが報連相の最大のポイントなのです。ぜひ、このポイントを間違わないようにお願いします。

「悪い報告をした部下を褒めよ」「悪い報告をしなかった部下を罰せよ」このルールについて社長から従業員の末端までに共通の認識を作り、さらに具体的な実践方法を確立し、そして日々忍耐強く続けて実践していけば、あなたの会社も最強の組織になるはずです。





著者:UVC管理者セミナー講師 立川 剛
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