「実践!管理者心得」第73回目

失敗は成功の元


「多くの人が成功を夢見ている。私にとって成功とは数多くの失敗と自己反省を繰り返した末に初めて手に入るものだ。実を言えば、そもそも成功とはあなたの仕事のほんの1パーセントに当たるものだが、それは失敗と呼ばれる99パーセントのものがあって初めて生まれてくるものである」この言葉は皆さんもご存知だと思いますが、本田宗一郎氏の有名な言葉です。

ある仕事で成功するには数多くの失敗を繰り返し、その失敗を反省し、失敗から学び、学んだことを生かして行くことにより、ようやく成功のゴールに達すると明確に述べています。これはまさに品質管理の道程と同じです。

私たちは部下が失敗すると「またミスをしたのか!」「誰がやったのだ!」と感情的に怒ってしまうことが多く、特に不良が発見された時はつい声を荒げてしまうのが普通です。しかし、いくら失敗を怒ったところで不良は減るものではありません。むしろ怒れば怒るほど部下は「怒られたくない」と感じて現場でミスが隠されるようになってきます。異常発見の報告が上がってこないので安心していたら、突然客先から「不良によりラインが止まった!」などの大クレームが入ってきた、と言うことになりかねません。これらを防ぐには「早めに失敗する」ことを奨励することも大切だと思います。

アメリカのペンシルヴァニア州リマックにあるハイテク制御システムのテフレックス社は年商1000万ドルから6000万ドルに急成長した優良メーカーとして世界的に知られていますが、社長のデーヴ・ボイヤー氏は次のように語っています。

「何事も前向きに失敗することが大切だ。速やかに失敗してその失敗から教訓を学びとり、すぐさま賢明な処置を講ずる。我が社ではあけすけにこの前向きの失敗を話し合う雰囲気がある」

このような話しをすると「いや、品質管理は最初からきちんとやることが鉄則だ。失敗しないように周到な準備を行なうのが真の品質管理である」と反論する方もいるかもしれません。

もちろん周到な準備は必要です。しかし製造業に人間が介在している限り予想外の失敗、不良発生は必ず起こります。人間は100%完璧な存在ではありません。完璧でない人間が作った機械を完璧でない人間が操作して物を生産するのですから、必ず予想外の問題が起こるはずなのです。それは製造業で歩留まりが常時100%の工場は地球上に存在していないことからも証明できます。

不断の品質管理を行なうには「今起きている問題、失敗、不良を認めること」そして「それらから教訓を学び、同じことを繰り返さないような処置を講ずること」の2点が大切なのです。「失敗は成功のもと」との格言がありますが、皆さんも部下が失敗したり、不良が出た場合、カッと怒るだけのマイナスの捉え方ではなく「これは品質をよくするチャンスだ!」と失敗してくれたことにお礼を言うくらいの前向きの捉え方で品質管理を進めて行かれたらどうでしょうか。





著者:UVC管理者セミナー講師 立川 剛
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