「実践!管理者心得」第70回目
ジャック・ウェルチの神髄とは
長引く不況と収益の伸び悩みの中、各業界とも生き残りを掛けて大規模な再編成が世界的な規模で行なわれています。1998年4月に日本版ビッグバンが2001年の完成を目指してスタートしましたが、このビッグバンにより日本の数多くの金融機関がアメリカを始めとした欧米系企業に合併、吸収されました。この流れは製造業にも押し寄せ、大手の自動車会社に外国人の最高執行責任者(COO)が就任、彼の指揮で大リストラを敢行するに至ったのです。現代の日本はまさに「日本企業バーゲンセール」の様相を呈しているのが現実です。
これからは全ての業界にこの流れが波及しますから、経営管理の分野も「日本的経営」ではなくグローバリゼーションの波に飲み込まれて行くに違いありません。こうなると日本の管理手法も欧米系の流れが主流になってくる可能性があります。現代の欧米系の管理手法を学ぶ時のキーマンはGE(ゼネラル・エレクトリック)の最高経営責任者(CEO)ジャック・ウェルチになるはずです。
ウェルチの管理手法は日本では賛否両論あり、日本的経営管理が「情」を基本とするならば、ウェルチは冷酷なまでに「理」であり、そこが嫌だと言う日本人も多いのです。しかしウェルチの実績は世界的に評価されているのも事実です。GEは彼がCEOに就任した81年に比べて98年末の売上高で約3・7倍の1005億ドル、純利益が約6倍の93億ドル、株式時価総額に至っては99年末で約35倍の4500億ドルにまで成長しているのです。4500億ドルといえば約45兆円ですからこれは凄い額です。
ウェルチの管理手法でGEはこれだけの驚異の成長を遂げたのですが、ウェルチは自分の仕事で最も重要で最も時間を掛けているのは次の2項目だと述べています。
1社員にモチベーションを与えること
2社員を評価すること
ウェルチはこの2項目を肥料と水に例えて次のように述べています。「花を育てるには肥料と水を両手に持って常に両方をかけなくてはいけない。うまく育てば美しい花壇になる。育たなければ抜くしかない。経営もそれと同じだ。」「育たなければ抜くしかない」これは実に重い言葉です。彼は「部下が10人いたら1人は必ず優秀で、1人は必ず切り捨てる」と明言しています。彼は部下を次の5段階に分けて評価しています。
1トップグループ:10%
2トップグループに次いで優秀なグループ:15%
3未来がある真ん中のグループ:50%
4注意を要するグループ:15%
5一番働きのないグループ:10%
「5番のグループは2度と会いたくないタイプで解雇対象である」これがウェルチの信条ですが、これは一方的に切り捨てるのではなく徹底した社員教育を行い、モチベーションを与え、そして実力を評価したうえで切るのです。社員教育の機会を与えているから育たない下の人間を切っても不満が出ないのがウェルチ流の神髄なのです。
著者:UVC管理者セミナー講師 立川 剛
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