「実践!管理者心得」第69回目
不良対策会議は裁判所ではない!
当社は社員教育のコンサルタントを行なっているため日系企業の指導先で実際に品質問題の対策会議に私自身が入ってアドバイスを行なうことがあります。このような不良の対策会議ではほとんどの企業で「責任の擦り合い」「非難の応酬」が行われているのが現実です。
1 優秀な議長が仕切らない限り、会議はどんどん違う方向に進んでしまい「誰が悪いかを裁く裁判所」と化してしまう。
2 最終的には「日本人の教え方、管理が悪い」「会社のシステムが悪い」「品質のポリシーが無い」「生産量が多すぎる」「品質管理課の人を増やせ」「精度の良い機械を買え」「仕事がきつすぎる」など問題の本質からはるかにかけ離れた結論が出てしまう。
3 ひどい会社になると部下がこれらの結論を日本人駐在員に付きつけて「どうしてくれるのですか!」とねじ込まれる事すらある。
4 結局、日本人駐在員は「タイ人の部下は使いものにならない」「日本人同士で考えた方が速くて良い」となり、自分たちだけで考えてその対策をタイ人に指示することになる。
5タイ人の幹部は「日本人は一方的に考えて無理な対策を私たちに押し付けるだけだ」と反発心を持つ。
この1から5までのパターンが繰り返されると悪循環と化して、効果的な対策が立てられず、指示した対策も守られず、不良の山だけがどんどんと出来上がり製造工場として最も恐ろしいパターンになってしまうのです。私も指導先の企業でこのような会議に出席し、まとまらない場合は議長を務める事もありますが、「全員で考える」「結論を導く」「全員の合意を得る」「さあ解決だ!との士気を高めて会議を終える」にはかなりのテクニックが必要です。そして何よりも日本人駐在員を始め、従業員の品質意識が高くなければなりません。現場で不良の山を見たら「自分の家が火事で燃えている」くらいに感じて、足に震えが来るほどの高い品質意識が必要なのです。
私が参加する対策会議で「ああでもない、こうでもない」と紛糾して時間ばかりが過ぎる場合は、私は全員にハーバード・ビジネススクールでコンサルタント会社の経営トップ、コンラッド・ジョーンズが講演した内容を話すことにしています。
「ある企業で製品に不良が発生した時、誰もが責任を取らないように延々と会議を続けました。結局、会議の結論は良く考えて再び会議を行なおうとなりました。一方、コールマン・ストーブ社で製品のボイラーに欠陥が見付かりました。社長のコールマンは対策会議を招集して大声を張り上げました。「お客様に売った製品に欠陥があったと言うのだな!全部回収しろ。そっくり取り替えるのだ。そして理由を突きとめて改善しろ。まったくとんでもない話だ!」会議はそれで終わりでした。誰が悪いなどの話は一切無く、30秒も経たないうちに会議は終わったのです」
この話は私たちに品質管理で大事な事は形式的に大勢で集まる会議を開く事ではなく、現場で原因を突き止め対策を行なうことだ!と言う事を示唆しています。本当に当たり前の事ですが、タイの日系企業では意外と忘れているのではないでしょうか。
著者:UVC管理者セミナー講師 立川 剛
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